高圧浣腸
高圧浣腸とは、点滴と同じ原理で薬剤を入れた容器を50cm程度の高所につり下げて、 水圧を使って薬剤を注入する浣腸の方式です。
病院などで1000ml〜2000mlの大量の薬剤を注入する場合によく用いられます。 この際に用いられる浣腸液の薬剤を入れる硬質容器をイルリガートルと呼ばれています。
かつては、高圧浣腸は、大腸内視鏡検査する場合などの大腸内の大部分の排泄物を除去する必要のある検査の前などに用いられていましたが、 最近は、ニフレックなどの経口腸管洗浄剤(約2リットルを2時間程度の間に飲む下剤)が用いられ、 高圧浣腸は補助的な役割を担っているにすぎません。
これは肛門近くの腸の洗浄には優れますが、 どうしても腸の深部に便が残ってしまうためであり、 洗浄剤を用いれば深部からの完全な洗浄が可能になるためです。 洗浄剤を用いた後にまだ便が残留している場合の補助的な洗浄に用いられます。
これは、下剤の多重の投与は患者さんの身体に対する負担が非常に大きいための措置です。 経口腸管洗浄剤は腸管穿孔あるいは腸閉塞の患者には使用禁忌である。
また、経口腸管洗浄剤は、腸閉塞になることが疑われる患者に使用することで実際に腸閉塞に陥ったり、 腸閉塞で壊死していた腸管が出血し、腸管穿孔するなど重篤な副作用が現れる例があります。
催下浣腸
催下浣腸の目的は、便秘治療をはじめとして排便を促す目的では、腸内の便を軟らかくし便の滑りをよくする、 大腸を刺激し大腸の蠕動運動を促進するという2つの効果のうち少なくとも一方を満たす薬剤が浣腸液として用いられます。
排泄を促すために使われる薬剤としてもっともポピュラーなのがグリセリンです。 グリセリンは油脂を構成する成分の一つであり、人体に対して毒性が低いのですが、 無毒ではなく致死量もあります。
直接血液中に進入した場合は危険ですが、 常識的な範囲での浣腸としての使用であれば問題となることはありません。 このこともグリセリンが浣腸液として適しています。
水とよく混ざる特性を持ち、グリセリンを腸内へ注入すると、浸透圧によって大腸を刺激し蠕動運動(便を肛門方向へ押し出そうとする腸の運動) を促進させるとともに、便を溶かし軟らかくします。
また、潤滑油の役割を果たし便の滑りをよくし排出しやすくする、 といった2つの薬効を持つ薬剤です。浸透圧による腸への刺激、また、蠕動運動によって直腸へ押し出された便が直腸に 圧力をかけることで便意中枢が刺激され、注入後3分〜5分程度で強い便意が起こります。
グリセリン原液を使用すると刺激が強すぎ腸壁を損傷するおそれがあるため、 通常、水で薄めた50%〜30%の薬剤が使用されます。また、催下効果が高いため他の薬剤に比べて少量の注入で十分な効果があるため、 10ml〜200mlが処方されます。